羨ましかった一人暮らし

学生時代は大学までずっと実家から通っていたため、ひとり暮らしというものに縁がありませでした。 大学のころはひとり暮らしをしている友人の家へ遊びに行き、パーティーをしたり、 寝泊りしたり、ギターを弾いたりと、 自由気ままに過ごすことのできるひとり暮らしにとても憧れていました。

なにより、「今日は何時に帰ってくるの?」「ゴハンはいるの?」「誰と遊びに行くの?」 と親に干渉されない暮らしが羨ましくてたまりませんでした。 社会人になり、自宅から通える会社に就職したものの、 仕事が忙しく終電ギリギリの生活が多くなったある日、ひとり暮らしを決意しました。 何年も一緒に暮らしていた父親は、嫁に行くわけでもないのに既に涙目で、 反対しつつも結局は物件を納得いくまで物色して承諾してくれました。

小さな引越しなので荷物が少なかったこともあり、軽トラの運送屋さんにお願いしました。 初めてのひとり暮らしだったので、たこ焼きパーティをしたり、飲み会をしたり、 色んなことをしたいなぁと夢を膨らましながらいざ生活をスタートさせると、まず大問題発生。

ごはんが作れない。小学生のころも、調理実習のときは悪知恵を働かせて、 家で家事をしている女の子に調理をしてもらったり、家では料理というものをしたことがなかったので、 出来る方がおかしい状態でした。

「簡単にできる初めてのごはん」といった初心者にでもできる料理本を買ってきて調理したものの、 不器用なのか写真と同じものが出来たことはなく、 コンビニ弁当を毎日食べるほど裕福ではなかったので、早々に諦め、 冷凍うどんをゆがくだけの日々がスタートしました。

憧れだったひとり暮らしでしたが、結局のところ、忙しくてパーティーどころでなかったり、 うどんだけしか食べなかったので体重が激減したり、夜ひとりで寝ることがとても寂しかったりと、 憧れていた華々しい生活とはかけ離れたものでした。 親の干渉さえも恋しく思え、自分がいかに甘えていたかを痛感しました。

今は結婚して家を出ましたが、家を出る前に、自分の甘えや未熟さ、 親のありがたみをきちんと身をもって実感できる「ひとり暮らし」を体験できたことは、 私の人生にとって大きなプラスになったと思います。